2021年9月25日に2021年度第3回例会を開催しました。

2021年度第3回例会

【日時】9月25日(土)14時から17時30分
【報告者と題目】
第1報告:佐竹壮一郎(同志社大学法学研究科博士後期課程)
「「独特な」政体を表象する場としてのブリュッセル―EUの「首都」形成をめぐって―」
第2報告:ハーニ・ハディ(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科)
「パレスチナ問題における「解決」のディスコース分析―檻としてのナショナリズムに関する批判的検討―」
第3報告:佐藤良樹(同志社大学総合政策科学研究科博士後期課程)
「ギリシャ・イレデンティズムと戦争―ヴェニゼロスの政治指導に焦点を合わせて―」

 第3回例会は9月25日に開催された。第1報告では、EUの「首都」形成について報告を行った。本報告の前半では、ベルギーにおけるEUの「首都」形成過程において、欧州委員会が業務量の増大に伴うオフィスの分散化を主張していた一方で、ベルギー側が無秩序な再開発の拡大に懸念を示し、両者の見解に相違があったことが示された。続いて本報告の後半では、欧州歴史館が目指したのは「ヨーロッパの記憶の貯水池」であり、「首都」としてのブリュッセルがEUの理想と現実の交錯を表象する場所であることが確認された。参加者からの質問のなかには、首都としての「ディテール」により注目することの必要性についてアドバイスが行われた。
 第2報告では、パレスチナ問題について、現状に照らしてどの解決が現実的なのか、提案されている解決案の前提に批判的な視点がみられないことをはじめに指摘した。そして、紛争解決学の一般的な理論と、実現へ向けた大まかなガイドラインの提案に向けて、「ディスコース分析」からアプローチした。その中で多国籍軍の介入を通じた「上から」の妥結、あるいは市民社会への啓蒙を通じた「下から」の変革の可能性などを提起した。参加者の中から、分析枠組みとしてのディスコース分析の課題について質問が寄せられ、将来の学術におけるその有用性について再確認することができた。
 第3報告では、ギリシャの政治指導者エレフセリオス・ヴェニゼロスがイレデンティズムを追求した要因を分析する前提として、彼に関する先行研究を「外交指導者」、「為政者」、「扇動家」の各側面から検討した。本報告を通じて、ヴェニゼロスの政治環境と社会状況が明らかになったものの、政策がどのような局面で規定されていくのかという今後の研究課題を示した。領域拡大による有権者層の変容という研究の見落を発見することになり、今後の分析軸を検討する機会になった。
第3回例会は9月25日に開催された。第1報告では、パレスチナ問題について、現状に照らしてどの解決が現実的なのか、提案されている解決案の前提に批判的な視点がみられないことをはじめに指摘した。そして、紛争解決学の一般的な理論と、実現へ向けた大まかなガイドラインの提案に向けて、「ディスコース分析」からアプローチした。その中で多国籍軍の介入を通じた「上から」の妥結、あるいは市民社会への啓蒙を通じた「下から」の変革の可能性などを提起した。参加者の中から、分析枠組みとしてのディスコース分析の課題について質問が寄せられ、将来の学術におけるその有用性について再確認することができた。
第2報告では、EUの「首都」形成について報告を行った。本報告の前半では、ベルギーにおけるEUの「首都」形成過程において、欧州委員会が業務量の増大に伴うオフィスの分散化を主張していた一方で、ベルギー側が無秩序な再開発の拡大に懸念を示し、両者の見解に相違があったことが示された。続いて本報告の後半では、欧州歴史館が目指したのは「ヨーロッパの記憶の貯水池」であり、「首都」としてのブリュッセルがEUの理想と現実の交錯を表象する場所であることが確認された。参加者からの質問のなかには、首都としての「ディテール」により注目することの必要性についてアドバイスが行われた。
第3報告では、ギリシャの政治指導者エレフセリオス・ヴェニゼロスがイレデンティズムを追求した要因を分析する前提として、彼に関する先行研究を「外交指導者」、「為政者」、「扇動家」の各側面から検討した。本報告を通じて、ヴェニゼロスの政治環境と社会状況が明らかになったものの、政策がどのような局面で規定されていくのかという今後の研究課題を示した。領域拡大による有権者層の変容という研究の見落を発見することになり、今後の分析軸を検討する機会になった。