2022年6月27日に共催の研究会・シンポジウムを開催しました。

2021年度共催の研究会・シンポジウム
【日時】6月27日(月)15時30分から17時
【タイトル】2022年度第1回オンライン研究会「在沖米軍基地とウクライナ紛争」
【司会】前泊博盛(沖縄国際大学経済学部・沖縄国際大学沖縄経済環境研究所 所員)
【報告者】妹尾哲志(専修大学法学部)
【パネリスト】
岩坂将充(北海学園大学法学部)
富樫耕介(同志社大学政策学部・同志社大学地域紛争研究センター副センター長)
月村太郎(同志社大学政策学部・同志社大学地域紛争研究センターセンター長)
【主催】沖縄国際大学沖縄経済環境研究所
【共催】同志社大学地域紛争研究センター

 6月27日に沖縄国際大学沖縄経済環境研究所と同志社大学地域紛争研究センターの共催で、「在沖米軍基地とウクライナ紛争」と題した第1回研究会が開催された。本研究会では、在沖米軍基地の調査を踏まえ、昨今の国際情勢に伴う基地機能の強化に触れつつ、国際社会に大きな影響を与えているウクライナ戦争に関する報告が行われた。
はじめに、専修大学法学部の妹尾哲志による「戦後ドイツ外交における対ロ依存の歴史的起源?-『接近による変化』構想の内容とその登場背景-」と題した基調報告が行われた。報告では、ウクライナ侵攻に関するドイツの対応とその展望を、冷戦期のドイツ外交に照らして分析することが試みられた。報告者は、昨今、ドイツ国内でロシアへの経済的依存が問題視されていることを指摘した。その中で、エゴン・バールによる「接近による変化」構想やそれを基にしたヴィリー・ブラントの「東方政策」が、ソ連との経済的関係を深化させたとする批判的な議論を紹介した。そのうえで、これらの政策を一面的に解釈し、経済的関係の深化を失敗として捉える議論への注意を指摘した。
その後、現代トルコ政治、旧ソ連地域における民族紛争、国際政治史といったパネリストそれぞれの研究分野から報告が行われた。まず、今日のトルコの動向に関して、エルドアン率いるAKP政権が直面する課題と、それへの対応を中心とした国内政治からの分析が試みられた。次に、ウクライナ戦争の開始を紐解くため、ロシアが二度にわたるチェチェン紛争とジョージア戦争から得た「教訓」と、それらの戦争と今日のウクライナ戦争の関係性に関する分析を行った。最後に、19世紀以来の「戦争観」の継続と、その戦争観と最新の軍事技術との間にギャップがあることが指摘された。時間が足りずに十分な議論が展開されなかったことは残念ではあったが、各研究者の専門分野からウクライナ戦争を捉えることで、この事象が多様な側面を有していることが改めて確認された。